壇ノ浦合戦(15)" />

2005年09月19日

●源義経●〜台風壇ノ浦合戦(15)

車椅子「八艘飛び」の飛び方

この壇ノ浦では、義経にまつわるエピソードとして御馴染みの「八艘飛び」ですが、さてここで問題。
八艘飛び」とはどのような飛び方をさすのでしょう。

1八艘の船を次から次へと渡る

2八艘分の船の距離を飛ぶ

3長刀(なぎなた)を持ちながら超人的な跳躍を見せる

ここでは問題の答え探しとして、いくつかの作品や資料の中に描かれた義経の「八艘飛び」について見ていきながら、八艘飛びの真実に(可能な限り)迫ってみたいと思います。

まずは『平家物語』。ここで「八艘飛び」がどのように描かれているか見てみると、意外なことに「八艘飛び」という言葉そのものは見当たりません。ひとまず、巻十一の「能登殿最後」見てみます。

奮戦する平家方の猛将、ちっ(怒った顔)能登守教経は用意した矢すべて放ち終えました。以下。大体の内容は下記の通りです。

ちっ(怒った顔)教経はこの日を最期とおもったのか、赤地の錦の直垂に、唐綾おどしの鎧を着て、いかめしい大太刀を抜いて、大長刀の鞘を外して、それを両手に持って斬りつけ回りました。面とむかって相手になる者は皆無でした。そして多くの者達が討たれました。しかし、牡羊座総大将平知盛からの伝言で、雑兵をいたずらに斬りまくることをたしなめられ、敵の大将をねらい、力をこめて刀を握り直します。ちっ(怒った顔)教経は源氏の船に乗り移って、大音声とともに攻め戦うのでした。

ちっ(怒った顔)教経義経をじかには知りませんでしたが、立派な鎧を着た武者を、これぞ判官かと目ざとく見つけ、近づいていきます。
一方、、義経の方も先から承知、面とむかって立つようにしていましたが、上手くやり過ごしてちっ(怒った顔)教経と組み合うことはありませんでした。しかしながら、たまたまちっ(怒った顔)教経は、義経の船に行き当たりました。いざ勝負、と突進するのですが、義経はかなわないと思ったのか、長刀を脇にはさんで、他の源氏方の船が二丈ほど先にいたところにゆらりと飛び乗りました。能登守はこれにはついていけず、呆然とするだけでした。

以上が『平家物語』における「八艘飛び」の一部始終です。いささか拍子抜けするぐらいあっさりしていますが、要は追い詰められた義経が、二丈先の船に飛び移るというものです。この場合、先の解答のうち3に当たると考えられます。「壇ノ浦合戦」(安徳天皇縁起絵図 赤間神宮蔵)はその場面を描いた物です。

これについて、安田元久氏の『源義経』(新人物来往社)では、

「もちろんそのままは信じられない。二丈といえば6.6メートル、重い鎧をつけての跳躍でこれだけ飛べれば、まさに神業であろう。ここでは、そうした神技よりも、むしろ懸命になって逃げた義経の姿を『平家物語』の作者は強調したかったのかも知れない」

としています。勿論二丈を飛ぶのですから超人的ではありますが、一体これが我々の知るところの「八艘飛び」と言えるのでしょうか。どうも視覚的なイメージとしては、物足りなさを感じてしまいます。

いやむしろ、そもそも考えの順序が違っていて、ここは発送を転換させて、「八艘飛び」というのは後世に作り上げられたと見るべきでしょう。イメージとしての「八艘飛び」、ならびにその言葉が、いつごろ生まれたのかをも探る必要があるようです。

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ニックネーム ちこりん at 17:23 | Comment(12) | TrackBack(6) | ●源義経●壇ノ浦合戦
この記事へのコメント
おはようございます。
一週間ぶりに訪問させていただきました。
先週からの記事を全部読ませていただきました。
毎回、史料に基づいてわかりやすく解説していただき感謝です。八艘跳びも、ドラマで観ましたが今回のちこりんさんの記事で、史料に近い描き方をしていたということがわかりました。(金粉は別にしてw)
サイドに映像が加わり、バージョンアップしましたね。すごいなあと感心しました。
なお、幼帝の身代わり説ってなにか根拠がある話なのでしょうか。全くの創作なのでしょうか。
Posted by princip at 2005年09月19日 07:22
>principさん
御訪問とコメント有難うございます♪

記事をお読みくださいまして有難うございます♪ しかも一週間分も・・・・重ね重ねありがとうございます♪

幼帝の身代わりの説は、実は安徳帝生存説と微妙にリンクしているかと思います。生存説は壇ノ浦合戦時、平家の残党が密かに連れ出し地方に落ち延びた・・というものの他、九州四国地方を中心に20〜30箇所程、その伝承が残されています。生存説は、合戦後海中を捜索しても安徳帝のの亡骸が上がらなかった為で、それゆえに替え玉なる説も浮上してきたものかと思います。
いずれにしろ、各地にある生存伝説が大元になっている可能性が高いです。
Posted by ちこりん at 2005年09月19日 09:47
八艘飛び、私のイメージでは、1でした^^
「平家物語」には、そのような描写はないですし、現実離れしていますし、牛若が天狗を相手に修行をした系の御伽話の類なのかな、と思っていました。
タッキーが宙返りしたのは、傑作でしたね♪
Posted by ヒロ子 at 2005年09月19日 09:50
>ヒロ子さん
御訪問とコメントいつも有難うございます♪

タッキーが宙返りしたのはビックリしましたね♪思わず郎党をはじめ知盛殿もあっけにとらわれていました♪
鎧をつけたままよく宙返りができたなぁ〜と思いましたが、顔が今一見づらかったゆえに、宙返り部分はスタントマンさんだったのかな・・・と思ったりも♪
Posted by ちこりん at 2005年09月19日 10:20
鎧をつけて2丈も飛ぶのは不可能です。
しかい、義経は、カッコ良くそして超人でなければ伝説にならない。
八艘飛びの話ができたから義経はより義経になり、今日までファンが多い。
身の軽い小兵な人だったのでしょうね。
Posted by ラメール at 2005年09月19日 11:06
>ラメールさん
いつも御訪問とコメント有難うございます♪

全くその通りですね♪二丈なんて鎧をつけてなくても無理っぽいので現実離れ的な事ですが、その現実離れこそが義経様の魅力と人気なんだと思います。

昔の人もそのように感じたのではないでしょうか。
Posted by ちこりん at 2005年09月19日 11:58
おっ!!
サイドに映像が設置されてる!!
ますます充実ですね^^
今日のお題は皆が興味をもっているところですね。いつの世でもヒーローは少々現実離れした感があります。それがまた魅力なのかも♪
Posted by ダージリン at 2005年09月19日 14:34
>ダーさん
いつも御訪問とコメント有難うございます♪

そうですね♪超人的な振る舞い・行いだけでなく悲劇的な最期と遂げた人物であるからこそ・・かと思います♪
Posted by ちこりん at 2005年09月19日 16:07
 すいません。また、トラックバックでミスです。同じニフティーの「食う♪読む♪歩く♪」からはちゃんとついているのでプロバイダーのせいではないはずですが。
Posted by 悪七兵衛景清 at 2005年09月19日 19:07
こんばんは、動画が表示されるなどブログの充実振り
はすごいです!大河ドラマでも義経対知盛の戦いは
見ごたえがあったと思います。私の勝手な見解ですが
剣術では知盛の勝ち、飛翔力を含めた体術では義経の
勝ちだと判定しました。義経は接近戦が苦手とみて
得意のヒットアンドアウェイに持ち込んだのでしょうか?
Posted by KAZU at 2005年09月19日 20:21
>悪七兵衛景清さん
御訪問とTB&コメント有難うございます♪

いえいえ全然OKです♪気になさらないでください♪
実は私もよくやります・・・。
Posted by ちこりん at 2005年09月19日 20:44
>KAZUさん
再度の御訪問とコメント有難うございます♪

有難うございます♪
知盛様と九朗様の戦いに関する分析はさすがですね♪たしかに、接近戦が苦手な感じの印象です♪弁慶との争いでもふわっと浮いたりして避けてましたからね〜♪
Posted by ちこりん at 2005年09月19日 20:48
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